ARCHITECTURE

建築設計

横浜医療秘書専門学校神奈川県

緑の海の上に浮かぶ
展望テラス

横浜関内駅からほど近いこの敷地を初めて訪れた時はもう夕方だったが、正面に広がる大通公園の木々が傾きかけた太陽に照らされて美しくキラキラ光っていた。小中高時代を横浜で育ち、両親が今も横浜に暮らす私にとって、この街での設計依頼は格別な思いがあった。
3年前に建設した札幌ビューティーアート専門学校に環境が似ていると思ったが、札幌大通公園は落葉樹が多いため冬になると葉が落ちて真っ白な雪で覆われた世界の中に建物が浮かぶ。一方この横浜の大通公園は常緑樹が主なので冬でも緑豊かな風景を楽しめるが一年を通して建物全景が姿を現すことがない。少し引いて、公園の中に立ってみると隣地の9階建ての建物の上部が木々の上に見えることに気づいた。最上階にガラス窓を連立させ緑の海の上に浮かぶ展望テラスをつくろうと考えて計画はスタートした。
  
外壁の素焼きのタイルは公園の緑に溶け込むように自然な風合いの色とテクスチャーにこだわって、一つ一つ表情や大きさが違うピースを組み合わせて焼いて貰った。 
ピロティは独特なスタイルの特注の大型ペンダント照明と揃いのブラケット照明でアクセントとしエントランスホールは外国の方が多い土地柄、和調の雰囲気もとり入れ、和紙の光壁と木目調の仕上げで落ち着いた空間とした。
大通公園街づくり地区の規定による壁面後退により低層部をセットバックしたため、3階より上の張り出した部分にはアッパーライトを配して建物のエッジを照らし、夜の風景をつくった。

建物概要

  • 建物名称 横浜医療秘書専門学校
  • 所在地 神奈川県横浜市中区
  • 設計監理 ウイングスペース一級建築士事務所
  • 施工 大成建設
  • 用途 専修学校
  • 構造規模 鉄筋コンクリート造 地上9階
  • 延床面積 2,491.48㎡
  • 竣工 2021年4月